パーソナルジム・入会後の継続

パーソナルジムで会員が辞めていく前に、
退会の前兆を見つける方法

入会はしてもらえる。最初の数週間は楽しそうに通ってくれている。それなのに、数ヶ月たつと退会の申し出が届く——このとき、退会はたいていその日に決まったのではありません。申し出の前に、記録にはもう前兆が出ています。どこを見れば前兆に気づけるかは、会員様の契約の形によって違います。

先に結論。会員様の退会は、申し出の日ではなく、その前の「区切り」(回数券を使い切る・コースが終わる・最初の目標に届く)と「間隔」(予約が空く・普段より来ない)で決まっています。契約の形ごとに見る前兆を決め、区切りの前に次の目標を話し、入会月ごとの残り方で効いたかを確かめます。

この記事は、入会したあとの「続く・辞める」の話です。体験に来た方がなかなか入会しない場合は、その手前の段の話になります(パーソナルジムで体験から入会しないときの切り分け方)。整骨院のように通院が中心の業態は、来院の間隔で見るほうが合います(整骨院のリピート率を上げる方法)。

なおこの記事は、続けていただくための「流れの整え方」にしぼって書いています。トレーニングの中身や、体の変化の出方には触れません。体の変化をうたう表現には広告のルールがあるためです。

原因の見立て

会員が辞めるのは、いつ決まっていますか?

退会の申し出は最後の手続きです。決まるのはその前の「区切り」と「間隔」で、どちらも記録に先に表れます。

退会の申し出を受けてから理由を伺っても、多くの場合、気持ちはもう決まっています。引き止めようとしても間に合わないのはそのためです。申し出より前に、会員様の記録には2種類の前兆が出ています。

1つめ|区切り

回数券を使い切った、2〜3ヶ月のコースが終わった、最初に決めた目標に届いた——契約や目標がひと段落する時点です。区切りは、会員様が「このまま続けるか」をあらためて考える瞬間で、何も話さないまま迎えると「いったんここまで」で終わりやすくなります。区切りの良いところは、予定表から前もって分かることです。いつ来るかが分かっているので、先に手を打てます。

2つめ|間隔

予約が入らない週が続く、普段より来る回数が減る。仕事の繁忙期、体調、気持ちの冷めなど理由はさまざまですが、こちらは記録を見ないと気づけません。予約表は「今日とこれから」を見る道具なので、「最近来ていない人」は自分から探さないと見えてこないのです。

つまり、区切りは予定で、間隔は記録で見つけるものです。どちらも、申し出が届くよりずっと前に表れています。

なお、辞めることは会員様の自由で、すべての退会を防ぐ話ではありません。防げるのは、続けたい気持ちはあったのに、続ける理由が見えなくなって辞めていくケースです。

入会から退会の申し出までに出る、2種類の前兆 左端の入会から右端の退会の申し出までを横軸にした模式図。軸の上に来店の点が並び、前半は等間隔、後半ほど点の間隔が広がる。間隔が普段の2倍空いたところに、一声かける目安の印がある。軸の途中には区切りの旗が2本立つ。区切り①は回数券を使い切る、またはコースが終わる時点、区切り②は最初の目標に届く時点。それぞれの旗の2〜3回前に、次の目標を話す時期を示す括弧がある。下段の凡例は、区切りは予定表で前もって分かり、間隔は記録を見ないと分からないことを示す。点と間隔は模式で、実際の回数や日数ではない。 退会の申し出より前に、記録には2種類の前兆が出ています 区切り ① 回数券を使い切る/コース終了 区切り ② 最初の目標に届く 間隔:普段の2倍空いたら 責めない一声を1回 退会の申し出 (最後の手続き) 入会 次の目標を話す (区切りの2〜3回前) 次の目標を話す (区切りの2〜3回前) 区切り=予定表で前もって分かる 回数券の残り・コースの終了日・最初の目標 いつ来るか分かるので、先に手を打てる 間隔=記録を見ないと分からない 最後の来店から、普段より空いていないか 予約表は「今日とこれから」しか見せない ※ 来店の点と間隔は模式図で、実際の回数や日数ではありません。 「2倍」「2〜3回前」は判断の目安で、効果を約束する数字ではありません。
退会の申し出は最後の手続きで、前兆はその前に出ています。区切りは予定表で、間隔は記録で見つけます。

見るところ

前兆は、契約の形ごとに何を見ればいいですか?

月額制は予約の数、回数券は残数と期限、期間コースは終了日を見ます。区切りの前に次の目標を話すのが共通の手です。

同じ「辞めそう」でも、どこに表れるかは契約の形で違います。月額制の会員様は「来る回数」に、回数券の会員様は「残数と最後の来店」に、期間コースの会員様は「終わりの日」に前兆が出ます。まず、自店の契約の形ごとに、毎月見る数字を決めます。

契約の形見る数字前兆声をかける時
月額・通い放題 その月の予約・来店の回数 普段の月の半分ほどに減る/予約の入っていない週が2週続く 減った月のうちに(月が変わる前)
月額・回数固定
(月4回など)
その月に残っている回数 月の後半になっても回数が残り、使い切れない月が続く 2ヶ月続けて余ったとき(通える曜日・時間帯やプランを一緒に見直す)
回数券 残数・最後の来店日・有効期限 残りが少なくなった(区切りが近い)/最後の来店から普段の間隔の2倍空いた/期限が近いのに残数が多い 残り2〜3回の時点で次の目標を話す。期限は残数とあわせて事前に一度伝える
期間コース
(2〜3ヶ月など)
終了日までの残り回数 終了が近いのに、終わったあとの話をしていない 終了の2〜3回前に、終わったあとの続け方を話す

※ 表の「2倍」「2〜3回前」は判断の目安です。効果を約束する数字ではありません。

会員様の普段の通い方は店ごとに違うので、まずこの目安で始めて、自店の記録を見ながら調整します。「普段の間隔より空いたら声をかける」という考え方そのものは、整骨院の再来院でも同じです(整骨院のリピート率を上げる方法)。ジムで違うのは、間隔より先に区切りが来ることです。区切りは回数券やコースの設計から前もって分かるので、間隔が空くのを待たずに手を打てます。

契約の形が混ざっている店は、形ごとに分けて見ます。1人の会員様の来店日・残数・契約の形が、予約表・紙の回数券・連絡の記録にばらばらに残っていると、前兆はほぼ見えません。まずは「区切りが近い会員様」と「間隔が空いた会員様」の一覧が、月に1回出せる状態を目指します。

記録が散らばっていて、前兆を拾いきれないとき

予約表・回数券・連絡の記録がどこにあるかを伺いながら、どの会員様に、いつ声をかけるかを一緒に整理します。

会員様の前兆を、記録から一緒に拾う→

数え方

継続率は、どう数えればいいですか?

入会した月ごとに、何ヶ月後に何人残っているかを並べます。今月の退会数を会員数で割るだけでは読めません。

「今月は何人辞めたか」を会員数で割る数え方は分かりやすいのですが、これだけでは手の打ちようがありません。入会が多かった月があると、その数ヶ月後に区切りを迎える人がまとまるので、退会もまとまって来ます。会員数そのものも毎月動きます。「先月より退会が増えた」が、入会の波のせいなのか、続け方に問題があるのかを分けられないのです。

そこで、入会した月ごとに、その後何人残っているかを並べます。行に入会月、列に「入会人数」「1ヶ月後」「3ヶ月後」「6ヶ月後」に在籍している人数を書くだけです。

入会月入会1ヶ月後3ヶ月後6ヶ月後
4月5人5人3人2人
5月3人3人2人まだ
6月4人4人2人まだ
7月6人5人4人まだ

※ 表の人数は読み方を示すための例で、目安ではありません。10月時点で数えた形です。

見るのは、どの列で大きく減っているかです。1ヶ月後から3ヶ月後のあいだで減っているなら、最初の区切り(はじめの回数券やコースの終わり)で辞めている可能性が高い。3ヶ月後から6ヶ月後で減っているなら、2つ目の区切りか、通うこと自体への慣れが問われています。減っている列が分かれば、前の見出しの表のどこに手を入れるかが決まります。

入会月ごとの残り方の表の読み方 行に入会月(4月から7月)、列に入会人数と1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後の在籍人数を並べた表。4月は5人、5人、3人、2人。5月は3人、3人、2人、まだ。6月は4人、4人、2人、まだ。7月は6人、5人、4人、まだ。1ヶ月後と3ヶ月後の列のあいだに朱色の帯があり、ここで人数が減っている=最初の区切りで辞めていると注記している。4月から6月の3行は括弧でくくられ、束ねて読むと12人のうち7人が3ヶ月後も在籍していると示す。まだのセルは、10月時点ではまだその月数に達していないことを表す。人数は読み方を示すための例で、目安ではない。 入会月 入会 1ヶ月後 3ヶ月後 6ヶ月後 4月 5人 5人 3人 2人 5月 3人 3人 2人 まだ 6月 4人 4人 2人 まだ 7月 6人 5人 4人 まだ ここで減る =最初の区切りで辞めている 束ねて読む 4〜6月に入会した12人のうち 3ヶ月後も在籍は7人 1人の差で割合が大きく 動く月は、まとめて読む まだ=10月時点で、その月数に達していない ※ 人数は読み方を示すための例で、目安ではありません。10月時点で数えた形です。
どの列で減っているかを見れば、どの区切りで辞めているかが分かります。人数が少ない月は、3ヶ月分を束ねて読みます。

入会が月に数人だと、1人の差で割合が大きく動きます。その場合は、3ヶ月分の入会をまとめて読みます。上の例なら、4〜6月に入会した12人のうち、3ヶ月後に残っているのは7人です。月ごとの割合を比べて一喜一憂しないことが大切で、その理由は体験から入会の記事で詳しく書いています(入会率は何%を目指せばいいですか?)。

打ち手

前兆が出た会員様に、何をすればいいですか?

区切りの前は次の目標を一緒に決め、間隔が空いた人には責めない一声を1回。続けられない事情は引き止めません。

前兆の種類ごとに、することは3つに分かれます。どれも「やれば退会が減る」と約束できるものではありません。入れたら、入会月ごとの表の3ヶ月後の列で確かめます。

① 区切りの前には——次の目標を一緒に決める時間を取る

回数券の残りが2〜3回になったら、あるいはコースの終わりが近づいたら、トレーニングの時間とは別に、少し話す時間を取ります。最初に決めた目標にどこまで近づいたか、次に何を目指すか。これは売り込みではなく、続けるかどうかを会員様に決めてもらうための材料です。続ける、プランを変える、いったん終える——選択肢を並べ、その場で決めなくてよいことを先に伝えます。体の変化を約束して続けてもらう言い方はしません。

② 間隔が空いた人には——責めない一声を、1回

「最近いかがですか」に添えて、空いている時間帯や、予約の取り直し方を伝えます。中身は、来られない理由に答えるものにします。仕事が忙しい時期の方には遅い時間帯を、体調を崩していた方には無理のない再開の仕方を。返事がなければ、それ以上は追いません。何度も送ると、連絡そのものを止められてしまいます。

③ 続けられない事情は——引き止めない

転居・家計・体調のように、店の手では変えられない事情もあります。休会の仕組みがある店なら、選択肢の1つとして伝えます。無理に引き止めると、事情が落ち着いて戻りたくなったときに、戻りにくくなります。「また来たくなったら、いつでもどうぞ」で送り出すほうが、長い目で見て店のためになります。

区切りの前の連絡や、間隔が空いた方への一声をLINEで送る場合の仕組みは、LINE公式アカウントの運用にまとめています。

申し出のとき

退会の申し出があったら、何を聞けばいいですか?

理由を1問だけ聞き、変えられる理由と変えられない理由に分けて毎月数えます。手続きは分かりやすく伝えます。

申し出の場で引き止めるより、理由を1つだけ伺って記録に残すほうが、次の会員様のためになります。聞き方は「差し支えなければ、続けるのが難しくなったいちばんの理由を教えてください」の1問で十分です。答えやすいように、選択肢を用意しておきます。

分け方理由の例店にできること
変えられる理由 時間帯・曜日が合わない/目標があいまいになった/内容が合わなかった 前の見出しの①②が効く余地がある。同じ理由が毎月続くなら、時間帯の枠や区切りの前の話し方を見直す
変えられない理由 転居/体調/家庭の事情 引き止めない。休会の仕組みがあれば伝える
どちらとも
言えない理由
費用 プランの選び直しで続けられる場合と、そうでない場合がある。押し付けずに選択肢だけ伝える

この理由を毎月数え、入会月ごとの表と並べて見ます。変えられる理由が多いなら、前兆の段で打てる手がまだ残っているということです。

⚠ 退会の方法を聞かれたら、分かるように伝えてください。消費者契約法では、事業者は、消費者に求められたときに、契約で定めた解約の権利を使うために必要な情報を提供するよう努めることとされています。引き止めたいからといって、手続きを分かりにくくしたり、何度も先延ばしにしたりはしません。気持ちよく手続きを終えられた会員様のほうが、また戻ってきやすいものです。

ご相談の前に

退会と継続の、よくあるご質問

退会率は何%なら普通ですか?
目安は置きません。契約の形(月額か回数券か期間コースか)や、入会が多かった時期によって大きく変わるためです。出回っている数字も、分母が会員数なのか入会者数なのか、どの期間の結果なのかが書かれていないものがほとんどです。比べる相手は他店ではなく、自店の入会月ごとの表です。同じ数え方で、3ヶ月後の在籍が前より増えたかを見ます。
回数券の期限が近い会員様に、連絡してもいいですか?
残数と期限をお伝えするのは、会員様にとって必要な案内です。ただし、期限を理由に急がせて次の回数券の購入を迫る言い方は避けます。残りの回数を期限内に使い切れるよう、予約の予定を一緒に立てる形にすると、案内が押し付けになりません。
退会を引き止めてもいいですか?
事情を伺い、続けられる方法があればお伝えするところまでにします。時間帯やプランの変更で続けられるなら、それを選択肢として示すのは会員様のためにもなります。一方で、手続きを分かりにくくしたり、何度も引き止めたりはしません。消費者契約法でも、解約に必要な情報は求めに応じて提供するよう努めることとされています。
ピラティススタジオでも、同じ見方でいいですか?
同じ見方で使えます。違うのは区切りの形です。ピラティスはレッスンの回数券や、月に決まった回数の月額制が多いので、前兆の表のその行を中心に見ます。業態ごとの進め方はピラティスの集客・運用のページにまとめています。
記録が紙の回数券と予約サイトに分かれています。どうすればいいですか?
すべてを一度にまとめなくて大丈夫です。まずは、1人の会員様の来店日・残数・契約の形が1か所で見えるようにすることから始めます。最初は「区切りが近い会員様」の一覧が月に1回出せれば十分です。そこから、間隔が空いた会員様の一覧へ広げていきます。
何ヶ月たてば、効いたと言えますか?
入会月ごとの表の「3ヶ月後」の列で見ます。手を入れた月以降に入会した会員様の3ヶ月後がそろうまでには、早くても3ヶ月かかります。入会が月に数人なら、3ヶ月分を束ねて読みます。1ヶ月の退会数の上下で、手を入れ替えないでください。

このページの根拠にした一次情報

  • e-Gov法令検索「消費者契約法」— 第3条第1項第4号(消費者の求めに応じて、解除権の行使に必要な情報を提供する努力義務)
  • 消費者庁「表示規制の概要」— 優良誤認・有利誤認(景品表示法)

この記事を書いた人

守屋 大地|Knotlas(ノットラス)代表

身体系ウェルネス専門の集客・運用パートナー。Googleマップ・口コミ・SNS・AI検索という「新規の入口」と、LINEでの「再来店」を、AIを使って一つの運用にまとめています。会員様の退会は申し出の前に記録に表れる——その前兆を、毎月いっしょに拾いながら伴走しています。 運営者情報

会員様の前兆を、記録から一緒に拾う

予約表・回数券・連絡の記録がどこにあるかを伺いながら、区切りが近い会員様と間隔が空いた会員様を拾う流れを一緒に整理します。入会月ごとの残り方の数え方も、あわせてお伝えします。

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