AI研修・定着・記録の付け方

AI研修のあと、使われなくなる前に、
週ごとの使った回数と理由を
記録して確かめる方法

研修を受けた直後は使っていたのに、数週間たつと、いつもの手順に戻っている。足りないのは使い方の知識ではなく、使わなかった週に、何が起きていたかの記録かもしれません。

先に結論。研修をやり直す前に、4週間、週に1行だけ「使った回数・使った業務・直した時間・使わなかった理由」を書きます。そのうえで、多かった理由に、手を1つだけ打ち、次の4週で同じ形で数え直します。理由は自社の記録から決めるので、他社の数字や一般論に合わせません。

この記事は、題材を決めたあとの「使い続ける」段の話です。使うAIの種類や道具の比較、料金には触れません。表と図の数字は読み方を示す例で、会社の業種や事情で変わります。

原因の見立て

AI研修のあと、使われなくなるのは、なぜですか?

研修のすぐあとは使われます。止まるのは、たいてい数週間後です。見るのは使い方の知識ではなく、使わなかった週に何が起きたかです。

研修を受けた直後は、教わった使い方を試す人が多いはずです。ところが2〜3週間たつと、いつもの手順に戻っていることがあります。このとき、「使い方を忘れたのでは」と考えて研修をやり直しても、止まった原因が別のところにあれば、また同じ形で止まります。

つまり、使われなくなったときに先に確かめるのは、使わなかった週の理由です。そしてその理由は、研修の内容ではなく、自社の1か月の記録から分かります。この記事は、題材を決めたあとの「続ける」段の話です。題材の選び方は小さな会社のAI研修、最初に扱う業務を3つの問いで1つに絞るにまとめています。

理由の分け方

使わなかった理由は、どう分かれますか?

使わなかった理由は、①何に使うか思い出せない ②直す手間が自分でやるより長い ③入れてよい情報か分からないの3つに分けて見ます。

表の右の列が、理由ごとの次の一手です。1回に手を打つのは、記録で多かった理由の1つだけです。

理由現場で起きていること次の一手
①何に使うか思い出せない研修で使った題材以外の場面で、頭に浮かばない使う場面を1つだけ決めて、机の見える所に書く。場面を増やさない
②直す手間が長いAIの答えを読んで直す時間が、自分で書く時間より長く感じる頼み方(依頼文)を1つ固定して使い回す。それでも長いなら、題材の業務を替える
③入れてよい情報か分からない取引先や個人の情報が混ざりそうで、使うのをやめてしまう入れてよい情報と入れない情報を、A4半分に書いて決める

①は覚え方の問題に見えて、実際は「場面が広すぎる」ことが多いものです。②と③は、AIの性能ではなく、社内の決めごとで変えられます。どれが多いかは、他社の話ではなく、自社の記録で決めます。

自社で止まっている理由が、まだ分からないとき

記録の付け方から一緒に整理し、止まっている原因を1つに絞るところまでお手伝いします。

自社で止まっている理由を、一緒に1つに絞る→

記録のしかた

使った回数と理由は、どう記録しますか?

4週間、週に1回だけ、使った回数・使った業務・直した時間・使わなかった理由の4つを1行で書きます。

毎週金曜の終わりなど、曜日を決めて、紙かメモに1行で足ります。AIに入力した文章そのものは写しません。業務の名前と回数だけで足ります。下の表の数字は、読み方を示すための例です。

週使った回数使った業務直した時間使わなかった理由
1週目(例)5回見積書の文案10分—
2週目(例)4回問い合わせの返信15分—
3週目(例)2回問い合わせの返信20分直す手間が長かった
4週目(例)1回問い合わせの返信25分何に使うか思い出せなかった

※ 表の数字は例で、実際の会社の評価ではありません。

この例では、回数が5回から1回へ減っています。同じ「問い合わせの返信」を記録した2〜4週目では、直す時間が15分から25分に延びています。3週目に「直す手間が長かった」、4週目に「思い出せなかった」と出ているので、先に手を打つのは、直す手間(②)です。

週ごとの、AIを使った回数 1週目5回、2週目4回、3週目2回、4週目1回の例を並べた棒の図。回数が半分以下に落ちた3週目に、その週の理由を見る。 回数が大きく落ちた週に、そのときの理由を見ます 5回1週目 4回2週目 2回3週目 1回4週目 ※ 数字は読み方を示すための例で、実際の会社の数字ではありません。
止まった理由は想像ではなく、回数が落ちた週の1行から決めます。

回数は、業務によって週に何回起きるかが違います。他社の回数に合わせず、自社の1週目と比べて、半分以下に落ちた週がどこかを見ます。

打ち手

記録を見たあと、何から手を付けますか?

理由が見えたら、多かった理由に手を1つだけ打ち、4週間は形を変えません。

記録を見ると、研修のやり直しも、ツールの入れ替えも、ルールの追加も、いっぺんにしたくなります。けれど、一度に変えると、使われ方が変わっても、どれが効いたのか分かりません。順番は次の通りです。

  1. 毎週1行、書く。曜日を決めて、使った回数・業務・直した時間・理由の4つだけ。入力した文章は写さない
  2. 理由を3つに丸める。「何に使うか思い出せない」「直す手間が長い」「入れてよい情報か分からない」のどれかに分ける
  3. 多かった理由に、手を1つだけ打つ。場面を1つに決める、依頼文を固定する、入れてよい情報を決める、のうち1つ
  4. 次の4週、同じ形で数え直す。使った回数と直した時間が、前の4週と比べてどう動いたかを見る。形は4週のあいだ変えない

⚠ 注意が2つあります。4週間の記録は、繁忙期や休みの週に左右されます。1回の記録で決めた原因は目安として扱い、次の4週で確かめます。もう1つ、この方法で使われるようになると約束できるものはありません。記録は、手を打つ場所を決める材料を得るためのものです。

付ける前の確認

記録を付けるとき、何に気を付けますか?

個人情報・記録の使い方・出力の確認の3つを、付け始める前に決めます。

  • 入力した内容を、記録に写さない。取引先や個人の名前が入った文章を記録に残すと、記録そのものが個人情報の置き場になります。業務の名前と回数だけで足ります
  • 回数を、人の評価に結びつけない。使った回数で人を比べると、実際より多く書く人が出て、止まった原因が見えなくなります。見るのは、人ではなく「どの場面で止まったか」です
  • AIの答えは、人が確認してから使う。直す時間を記録するのは、確認の手間を含めて測るためです。確認を省いた時間は、記録に入れません

⚠ 個人情報や取引先の情報を、生成AIに入れてよいかは、使うサービスの規約と社内の決めごとで変わります。迷うときは、入れないことを先に決め、下の一次情報で注意点を確認します。

題材の選び方はAI研修で最初に扱う業務の選び方、研修の進め方はAI研修(生成AI活用研修)、AI導入の全体はAI導入・業務効率化にまとめています。外に頼むか自分たちで進めるかは集客・AI導入は自分でやるか、外注するかも参考になります。

ご相談の前に

AI研修の定着の、よくあるご質問

4週間のうちに、ほとんど使わなかったら、記録は無駄になりますか?
無駄にはなりません。使わなかった週の理由が書いてあれば、それが手を打つ材料になります。回数が少ない週ほど、「使わなかった理由」の欄を丁寧に書いてください。
記録を付けること自体が負担になりませんか?
週に1行で足りる形にしています。毎日書くと続きません。曜日を決めて、4つの項目だけを書いてください。続かないときは、項目を減らす前に、書く曜日と場所を見直します。
使った回数が少ない人がいたら、どうしますか?
人を比べず、その人が止まった場面を見ます。回数の多い少ないは、担当している業務によって違います。評価に使うと正直に書かれなくなるため、見る単位は「場面」にします。
研修を、もう一度やり直したほうがよいですか?
記録で「何に使うか思い出せない」が多く、場面を1つに決めても変わらないときに考えます。「直す手間が長い」や「入れてよい情報か分からない」が多いときは、研修ではなく、依頼文や社内の決めごとを先に直します。
直した時間は、どう測りますか?
AIの答えを読んで、そのまま使える形に直すまでにかかった時間を、おおよそで書きます。厳密な計測は要りません。同じ業務で、週ごとに増えているか減っているかが分かれば足ります。
どのAIサービスを使っていても、この方法で記録できますか?
できます。記録するのは、回数・業務・直した時間・理由で、サービスの種類には依存しません。入れてよい情報の決めごとだけは、使うサービスの規約に合わせて決めます。

このページの根拠にした一次情報

この記事を書いた人

守屋 大地|Knotlas(ノットラス)代表

お店のWeb集客と、中小企業のAI導入・業務効率化を支援しています。自社でも、経理・営業管理・コンテンツ制作をAIと仕組みで回しながら、現場で使える形に落とし込んでいます。 運営者情報

自社で止まっている理由を、一緒に1つに絞る

記録の付け方から整理し、止まっている原因を1つに絞るところまで、あわせてお伝えします。入れてよい情報の決めごとも、一緒に整えられます。

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